胃の構造から進行度を知りましょう。

胃がんの進行は粘膜の構造を知るのが基本

胃は腹部上、胸部より下辺りの位置にある消化器官です。食べ物は口から喉、食道を通り、胃にたどり着きます。胃の入り口である噴門部を経て、胃から分泌された消化液でドロドロの粥状に溶けた食べ物が胃の出口、幽門部から十二指腸に少しずつ送られます。胃は粘膜から強い酸性の胃酸や消化液を分泌します。分泌する粘膜を支える粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、一番外側の漿膜で胃の壁は構成されています。がんが胃の内側から外側までの層をどこまで浸潤しているかによって、早期がんか進行がんなのかの判定やステージ判定が変わります。粘膜下層までの浸潤なら早期がんとなり、それよりも外の階層に浸潤している場合は進行がんとして扱われます。

胃がんの進行度がわかる4つのタイプ

早期胃がんは5つのタイプに分類されています。隆起型、表面隆起型という粘膜下層までの部分で隆起するタイプが2種類。表面平坦型は隆起をほとんどしていない状態のタイプで、潰瘍化タイプである2種類は表面陥凹型(かんおうがた)、陥凹型です。それに対して、進行胃がんは下記の4つのタイプに分けられます。

分類/特徴

1型(限局隆起型)

粘膜上など限定的な場所で隆起した状態。潰瘍化してないので疾患部位がまとまっている。比較的治療しやすい。

2型(限局潰瘍型)

限定的な範囲で潰瘍化している状態。進行性の胃がんで25%の割合を占める症状。正常な場所との境目がはっきりしている。

3型(浸潤潰瘍型)

進行性胃がんの40%の割合を占める症状。飛び散った水のごとく周辺に潰瘍を広げており広範囲に渡る。

4型(びまん浸潤型)

スキルス胃がん。表面ではあまりひどく見えないが、粘膜の下を広い範囲で湿潤していく。若い世代に多く悪性度が高い。

がん治療の基本

胃がんなどの、がんにおける医療用語で病期を表すのがステージです。ステージは、がんの進行や浸潤レベルを進行度ごとに区切っている目安です。ステージによって、治療内容や生存率などがあるため、ステージを把握しておくと説明や治療を受けやすいでしょう。ある程度胃の中で広がった胃がんは、次に胃の内側の粘膜から胃の壁の中を外側に向かって深く浸潤していきます。浸潤が進んでおらず、まだがんが粘膜の中に留まっている段階であれば、ステージ1の1A期・1B期の早期がんとなります。

現代医療のがん三大療法

がんには現在3つの治療方法があります。これらの治療方法が、医療現場で利用されています。

外科治療

外科療法(手術)

内視鏡による患部切除手術、腹腔鏡下胃切除手術、胃の全摘や縮小手術などをステージやがんの状態にあわせて行ないます。リンパにがん転移の恐れがある場合にはリンパ節郭清で、リンパ節の一部を切除します。胃の摘出後に消化管再建などを行なう手術をすることもあります。しかし転移が広範囲に及ぶスキルス胃がんなどの治癒対策は、外科療法のみでは難しいため、症状の緩和のための手術が行なわれることもあります。

DNA

放射線療法

放射線治療は、DNA修復が不十分にしかできないガン細胞の特性を利用し、がん細胞のみを死滅させる治療方法として利用されています。DNA細胞を破壊して、正常な細胞の修復を促す仕組みの治療であり、抗がん剤と同等の副作用がでることもあります。長く続けると脱毛や、照射部位の色素沈着などが起きます。細胞増殖には栄養や体力が必要です。ある程度気力や体力が残っている状態で治療することが重要でしょう。

点滴

化学療法(抗がん剤・分子標的薬)

放射線治療と同じく、細胞を破壊して修復を促す仕組みのため、体へのダメージや副作用が大きい治療方法です。多くの場合は、手術などと併用して行なわれます。昨今、主に利用されているのが分子標的薬です。がん細胞に多いタンパク質を狙って効果を発揮する仕組みで、従来と比べて、副作用が軽減できる治療方法として主流化しています。副作用としては従来の抗がん剤と違い、ニキビや角質化といった皮膚の症状があります。

深達度によって治療法が変わる

がんの進行度レベルをステージで判断する際の基準として、TNM分類が利用されています。TNM分類は、T因子(原発腫瘍)・N因子(リンパ節転移)・M因子(遠隔転移)の項目で分類します。Tはサイズや浸潤度の分類項目、Nはリンパ転移があるかどうか、Mは他の臓器などへの転移があるかどうかで分類をします。この組み合わせでステージが決まります。胃の壁をどこまで浸潤しているかの深達度により、リンパ節転移や他の臓器への転移リスクが異なります。

ステージ別・胃がん治療の早見表

胃がんの進行度により、治療方法も変わります。ステージごとの対処方法を見ていきましょう。

内視鏡的粘膜切除

早期胃がんのIA段階で行なわれます。がんに侵された粘膜部分を繰り抜き切除、もしくは隆起を焼き切る手術です。口から内視鏡を入れて手術するので、開腹手術のような大きな傷も残りません。手術時間も20分から30分程度と短いです。

手術+術後化学療法

IIIA段階など、リンパへの転移リスクがある場合に手術を行ないます。転移や拡散を防ぐために抗がん剤も処方されます。術後、経過観察をしながら1年間程度、抗がん剤の服用を行ないます。

術前化学療法+手術

IIB段階になると、がんの大きさや転移状況から、手術だけですべての病巣を取り除くことが難しくなります。そのため、抗がん剤で先にがんの進行を止めたり、範囲を狭めたりすることで手術可能な状態にする治療方法として行なわれています。

化学療法+手術

IV段階は、広範囲にがん細胞が広がっている状態です。この場合では、完全に取り除くことができません。現在では、抗がん剤より副作用の小さな分子標的薬などで症状を緩和、進行を緩めて延命や緩和のための手術をします。

医者のイラスト

インフォームド・コンセントが大切

インフォームド・コンセントとは、しっかりと医師が治療内容について説明を行ない、患者が納得した治療方法を受けるという考え方を言います。状態や段階にあった適切な治療方法の説明を聞いて、患者自体がどういった治療を受けるのかを決めることが重要です。治療方法に対する話し合いは、医師との信頼関係構築にも必要な工程です。

抗がん剤について

副作用の症状

抗がん剤治療では、副作用がつきものです。使用を続ける期間で副作用の症状は異なってきます。以下では症状を期間ごとに区切って解説します。

使用直後

抗がん剤に対するアレルギー反応は、投与後の比較的早い段階で起きます。抗がん剤のアレルゲンが患者の抗体と反応して起きるため、この症状には個人差があります。アレルギー反応以外では吐き気や嘔吐の副作用があります。

2日~1週間

血中の白血球や赤血球の数が減少し、貧血気味になることがあります。そのため、吐き気や嘔吐に加えて、倦怠感も感じます。血球数は使用を終了すると徐々に回復していきます。抗がん剤の影響で便秘が起こることもあります。

1~2週間

新陳代謝が早い口腔内粘膜も抗がん剤で損傷を受けます。さらに白血球の減少が起きていることで、細菌感染するリスクが高くなっています。そのため、口内炎が発生することが多くあります。口腔内の傷から炎症になりやすいので予防が重要です。

2~4週間

この期間から、副作用として有名な脱毛症状が起きます。髪や体毛の根本にある毛母細胞が損傷し、毛が抜け始めます。毛母細胞の修復は、抗がん剤の使用停止後、2,3ヶ月たってから始まります。そのほかの副作用には、手足のしびれが挙げられます。

抗がん剤には、こうした副作用があります。そのため、使われる抗がん剤や副作用についてはしっかりと説明を受けて処方してもらうことが重要です。信頼できる医師に相談を行ないましょう。

今注目を浴びている治療法

利用者も多い補完代替療法

補完代替療法は、抗がん剤等による治療と比べ、かなりリスクが少ないことから注目されています。食事や喫煙などの生活習慣によって細胞の突然変異が起こるがんに対して、その食事や生活の中で行なうことができる治療法によって、がんの改善を目指す方法です。現在において、補完代替療法の効き目はまだ不明ですが、一部にはがん腫瘍を縮小できたケースもあるようです。抗がん剤や手術などの医療行為とは違い、民間療法のため、行なう内容や個人によっても効果は異なります。マッサージやヒーリング、セラピーといった補完代替療法もあります。また多くの患者は、アガリクスや漢方などの健康食品やサプリでの補完代替療法を利用しています。

利用者の数

2001年度の調査では、がん患者の約44.6%が何らかの補完代替療法を行なっているという結果でした。その中でも、96.2%もの人が、がんに効果があるとされるサプリメントや健康食品と、抗がん剤などの治療を併用していました。

使用数が多い健康食品

補完代替療法として、患者が主に行なっているのが、アガリクスやプロポリス、フコイダンなどの健康食品の摂取です。これら3つに共通する効果には、免疫力の向上があります。抗がん剤による免疫力低下での、他の細菌感染が起こるリスクを予防できます。